音楽評論家、ミュージシャン、DJ、占い師:鳥井賀句の日々徒然のブログ
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3月14日(金)
久々の雨。吉祥寺に用事で出かけたついでに、本日発売の萩原健一の告白本「ショーケン」(講談社)を買いに本屋に寄ると、既に売り切れと言われる。それで、パルコの地下の書店に行くと、やっとあった。帰って、一気に読み終えた。
以前1983年に彼が大麻不法所持で逮捕された時にも「俺の人生どっかおかしい」という告白本を出しているが、今回のは彼の生い立ちから、今までの音楽や映画などの仕事や、結婚・離婚、そして最近の映画プロデューサー恐喝事件までの殆どのことを、実に赤裸々に素直に語り下ろした本だった。自分は母と不倫相手の間に生まれた子供だったこと、テンプターズ時代から毎回コンサート前には大麻やコカインまで吸っていたことなども、包み隠さず語っている。一言でいってみれば、不良少年の自伝だが、彼の性格的特長として、物事に取り組むと熱くなって、自分や周りを極限まで追い込んでいくといういい意味でも悪い意味でも、しんどい性格なのだと理解できる。とにかく納得しないことや、ナーナーで妥協することが死ぬほど嫌いなのだ。また彼が石原裕次郎や美空ひばり、黒沢明や神代辰巳監督らの巨匠たちと、実に濃密な関係を持ち、彼らから進んで多くのことを学ぼうとした、勉強熱心な人柄というのもわかって興味深かった。
やりたい放題生きてきただけに、世間との軋轢も大きく、大麻で捕まった時にはTVCMのキャンセル料を3億円も取られ、その日の金にも困って、遊園地の子供相手にぬいぐるみの中に入って踊るというバイトを、あのショーケンが3ヶ月もやっていたなど、驚くべき事実も赤裸々に語られている。
自分の人生で今までに3度の地獄を見たと彼は語っているが、そのたびに、彼は寺にこもって修行したり、四国八十八箇所、1500キロをお遍路さんの格好をして、約1ヶ月歩き続けたり、それ以後も何度もお遍路をして自分に活を入れてきたという。
小泉一十三、桃井かおり、苑文雀、いしだあゆみ、前橋汀子、倍賞美津子、石田えり・・・と恋の遍歴も多かった彼だが、実はいしだあゆみは婚姻届を役所に出していなかったとか、国際的ヴァイオリニストの前橋灯子との同棲時には、彼女がヴァイオリンを弾くことに没頭し、ショーケンは映画の台本を読むことに没頭し、ガス台の上のやかんが爆発寸前になるまで、二人とも気がつかなかった・・等々、アーティスト同志の男と女が一緒に暮らしていくことの難しさなどが赤裸々に語られている。現在は57歳で妻も家族もなく、一人暮らしで、自分でスーパーで買い物をして、料理を作り、洗濯やアイロンかけをやっているという。あのショーケンがだ。05年に恐喝で逮捕されてからは、酒も睡眠薬も一切やめているという。そんな彼は、まだ自分の夢ををあきらめず、もっと素晴らしい映画や役者稼業に挑戦しようと決意している。
ショーケンはテンプターズの頃からの大ファンで、美形で世間受けのいい沢田研二よりも、ボクは問題児のショーケンのほうが好きだった。映画『約束』に出てから彼の俳優の才能は開花し、『もどり川』や、『傷だらけの天使』等、多くの名作に主演してきたし、ドンジャン・ロックンロール・バンドの頃のライヴも最高だった。
やはり才能がある余り、わがままで、自己主張の強い彼は、社会とうまく協調するのが難しかったのだと思う。でもこの本を読んで、ボクはそんなショーケンの生き様に大いに共感した。スケールの大小は違うが、オレもショーケンと同じように不器用な生き方しかできてこなかった。ただ、自分の納得のいかないことや、コビを売るような生き方は今後もしたくはない。突き落とされても、何度でも這い上がってやろうという強い意思、それをショーケンは持っている。だから、彼はこれからもやってくれるだろうし、今後の彼の活躍が楽しみだ。
何か世の中とうまくいかずに悩んでいる人は、この本を読めば、きっと勇気をもらえるだろう。
久々の雨。吉祥寺に用事で出かけたついでに、本日発売の萩原健一の告白本「ショーケン」(講談社)を買いに本屋に寄ると、既に売り切れと言われる。それで、パルコの地下の書店に行くと、やっとあった。帰って、一気に読み終えた。
以前1983年に彼が大麻不法所持で逮捕された時にも「俺の人生どっかおかしい」という告白本を出しているが、今回のは彼の生い立ちから、今までの音楽や映画などの仕事や、結婚・離婚、そして最近の映画プロデューサー恐喝事件までの殆どのことを、実に赤裸々に素直に語り下ろした本だった。自分は母と不倫相手の間に生まれた子供だったこと、テンプターズ時代から毎回コンサート前には大麻やコカインまで吸っていたことなども、包み隠さず語っている。一言でいってみれば、不良少年の自伝だが、彼の性格的特長として、物事に取り組むと熱くなって、自分や周りを極限まで追い込んでいくといういい意味でも悪い意味でも、しんどい性格なのだと理解できる。とにかく納得しないことや、ナーナーで妥協することが死ぬほど嫌いなのだ。また彼が石原裕次郎や美空ひばり、黒沢明や神代辰巳監督らの巨匠たちと、実に濃密な関係を持ち、彼らから進んで多くのことを学ぼうとした、勉強熱心な人柄というのもわかって興味深かった。
やりたい放題生きてきただけに、世間との軋轢も大きく、大麻で捕まった時にはTVCMのキャンセル料を3億円も取られ、その日の金にも困って、遊園地の子供相手にぬいぐるみの中に入って踊るというバイトを、あのショーケンが3ヶ月もやっていたなど、驚くべき事実も赤裸々に語られている。
自分の人生で今までに3度の地獄を見たと彼は語っているが、そのたびに、彼は寺にこもって修行したり、四国八十八箇所、1500キロをお遍路さんの格好をして、約1ヶ月歩き続けたり、それ以後も何度もお遍路をして自分に活を入れてきたという。
小泉一十三、桃井かおり、苑文雀、いしだあゆみ、前橋汀子、倍賞美津子、石田えり・・・と恋の遍歴も多かった彼だが、実はいしだあゆみは婚姻届を役所に出していなかったとか、国際的ヴァイオリニストの前橋灯子との同棲時には、彼女がヴァイオリンを弾くことに没頭し、ショーケンは映画の台本を読むことに没頭し、ガス台の上のやかんが爆発寸前になるまで、二人とも気がつかなかった・・等々、アーティスト同志の男と女が一緒に暮らしていくことの難しさなどが赤裸々に語られている。現在は57歳で妻も家族もなく、一人暮らしで、自分でスーパーで買い物をして、料理を作り、洗濯やアイロンかけをやっているという。あのショーケンがだ。05年に恐喝で逮捕されてからは、酒も睡眠薬も一切やめているという。そんな彼は、まだ自分の夢ををあきらめず、もっと素晴らしい映画や役者稼業に挑戦しようと決意している。
ショーケンはテンプターズの頃からの大ファンで、美形で世間受けのいい沢田研二よりも、ボクは問題児のショーケンのほうが好きだった。映画『約束』に出てから彼の俳優の才能は開花し、『もどり川』や、『傷だらけの天使』等、多くの名作に主演してきたし、ドンジャン・ロックンロール・バンドの頃のライヴも最高だった。
やはり才能がある余り、わがままで、自己主張の強い彼は、社会とうまく協調するのが難しかったのだと思う。でもこの本を読んで、ボクはそんなショーケンの生き様に大いに共感した。スケールの大小は違うが、オレもショーケンと同じように不器用な生き方しかできてこなかった。ただ、自分の納得のいかないことや、コビを売るような生き方は今後もしたくはない。突き落とされても、何度でも這い上がってやろうという強い意思、それをショーケンは持っている。だから、彼はこれからもやってくれるだろうし、今後の彼の活躍が楽しみだ。
何か世の中とうまくいかずに悩んでいる人は、この本を読めば、きっと勇気をもらえるだろう。
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ショーケン
本読みました。すごく面白かったです。
破滅型の天才ショーケンは、自分ではどうにもならない力で崖の方に行ってしまうけれど、弱音吐きながらもやりなおす強さに憧れます。
演技や音楽で表現せずにはいられない力が背中を押しているのでしょうか。
本を読んだ人でも今後に懐疑的な人もいるけれど、私は少し勇気をもらいました。
破滅型の天才はいつの世も生きづらいと思うけれど、ショーケンにはそこに俯瞰で見れる部分や明るさがあるのでは、と勝手に思っています。
昨日の「放送室」で松っちゃんはショーケンが長生きしたいと思ってるのが意外と言っていたけれど、生涯現役でやってほしいです。まずはスクリーンで復帰を。シネマアートン下北沢のショーケン特集でまたショーケンに浸りたいと思います。
破滅型の天才ショーケンは、自分ではどうにもならない力で崖の方に行ってしまうけれど、弱音吐きながらもやりなおす強さに憧れます。
演技や音楽で表現せずにはいられない力が背中を押しているのでしょうか。
本を読んだ人でも今後に懐疑的な人もいるけれど、私は少し勇気をもらいました。
破滅型の天才はいつの世も生きづらいと思うけれど、ショーケンにはそこに俯瞰で見れる部分や明るさがあるのでは、と勝手に思っています。
昨日の「放送室」で松っちゃんはショーケンが長生きしたいと思ってるのが意外と言っていたけれど、生涯現役でやってほしいです。まずはスクリーンで復帰を。シネマアートン下北沢のショーケン特集でまたショーケンに浸りたいと思います。
鳥井賀句